更新日:2007/10/30
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本書は、様々な企業がこれまでに行ってきた「企業の社会的責任(CSR)」に関する活動を事例をもとに詳細に分析し、その活動が企業自身や市民社会へ与えた影響、そして今後より有効性を高めるためにどうするべきかを述べている。
企業自身や市民社会への影響に関しては、単に表面的なものにとどまらず、
・CSR活動を積極的に行っている企業を多く含むポートフォリオは通常のポートフォリオより儲かっているのか
(社会的責任投資[SRI]の現実)
・「企業がコスト削減として行ったことをCSRに結び付けている」といったようなことはないのか
・CSRは採算がとれるのか
(消費者はCSRに関連した、あるいはCSRに積極的な企業の商品なら高くても買うのか)
・CSR活動が注目されるのは先進国の大企業ばかりであるが、それらの企業を支えている膨大な数の下請け企業
(その殆どが生活習慣の全く異なる途上国である)についてはどうなのか
・CSRという企業の自主的な取り組みので本当に効果があるのか、それには限界があり、やはり法的規制も必要
なのではないか
など、CSRとしては通常表にはでないものの非常に重要な問題についても徹底的に調査して明らかにしている。そして、一つの結論として「企業の社会的責任の定義は、より責任をもって行動することを全企業に義務付ける政府の能力と市民社会の両方を強化することを含める方向で、再定義する必要がある」と提案している(本書より)。
企業の責任や環境問題に注目がつまる昨今、見過ごされがちな側面についても積極的に取り扱っている本書は読者の方に多くの有益な情報と示唆を与えるであろう。