世界雇用情勢2013

更新日:2013/09/08

世界雇用情勢2013

雇用は二番底からの回復途上にある

ILO(国際労働機関) 著

田村 勝省 訳

2013年8月 発行

定価 2,500円

新 : ISBN 978-4-907600-25-9
旧 : ISBN 978-4-903532-96-7

※ ご注文の際は、新ISBNをご使用ください。

サンプルページ(PDF)

・  要約,目次

概要

この『世界雇用情勢2013』は,世界全体および各地域における雇用や失業・部門別雇用・脆弱で不安定な雇用・労働生産性,勤労貧困層に関する最新の推定値を示すとともに,国レベルの労働市場についての問題点やトレンドを分析している.

本書は,最近入手可能になったデータに基づくとともに,マクロ経済のトレンドや予測を考慮に入れて,労働市場に関する現在の情勢や解決すべき課題を解明しようとしている.また,本書はILO の『主要労働市場指標』に依拠しており,労働市場指標について地域別と世界全体の推定値にかかわる首尾一貫した一連の統計表を掲載している.個別レポートとしては労働市場の短期見通しが含まれており,世界中の労働市場の動向に関して予想されるトレンドやそれの牽引役となる要因が分析されている.

『世界雇用情勢2013』は,危機がどのようにして失業率のトレンドをいっそう引き上げたのか,という問題を取り上げている.たとえば,危機によって引き起こされた仕事の部門間シフトがその一因である.多くの先進国では,金利が歴史的に低いにもかかわらず,投資や雇用は明確な回復の兆しを示していない.また低成長の見通しは発展途上世界にも広がり始めている.そのほとんどの地域では生産性や賃金の伸びが低いことが引き続き問題として残っており,それが特に貧困国では雇用や可処分所得のいっそうの改善を阻害している.

本書は以下のように主張している:政策当局は特に多種多様な政策手段の調整を改善することによって,投資や雇用創出の増加に対する不確実性に取り組む必要がある.また,失業が高水準で増加している諸国では,対象を絞った労働市場グループ向けの雇用保証プログラムを政策措置として選好すべきである.最後に,勤労意欲喪失や構造的失業の増加に対しては,新しいスキルの獲得や訓練に関する政策を率先して行い,求職者が代替となる産業に就職したり,幅広い分野へ対応できるよう能力を強化したりするのを支援すべきである.

―― 修正のおわび ――
本書143ページの記載事項に誤りがありました。
表A9において、一番左の列のヘッダの記載がそれぞれ「全体」、「男性」となっておりますが、「若年層」、「成人層」が正しい表記です。大変失礼いたしました。
以下に修正ページを記載しております。
143ページ

目次

要約

1. マクロ経済の挑戦は悪化している

世界経済の鈍化傾向は2012 年に強まった

保護主義と政策矛盾が世界経済により一層のリスクをもたらしかねない

経済展望は曇ったままである

補遺1.ILO 採用不確実性指数

補遺2.主要国における公共部門,社会保障,及び労働市場にかかわる措置

2. 世界の労働市場にかかわる現状と展望

雇用創出がほとんどの地域で鈍化するなかで,失業は再び増加している

世界的な雇用ギャップの規模と性格を理解する

雇用の質にかかわるトレンド

労働市場の世界的展望

補遺1. スキルのミスマッチを測定する

補遺2. 就業率の変化を分解する

3. 地域別の経済・労働市場動向

先進国・EU

中央・南東欧州(非EU)およびCIS

ラテンアメリカ・カリブ

東アジア

東南アジア・太平洋

南アジア

中東

北アフリカ

サハラ以南アフリカ

補遺1. 危機の時期におけるトレンド的失業

補遺2. オークン係数と銀行危機

補遺3. ILO 短期予測モデル

4. 適切な雇用構造に向けた変化

はじめに

1 人当たり付加価値の伸びを分解する

労働市場は構造変化から利益を享受している

結論

補遺1. 1 人当たり付加価値の伸びの分解

補遺2. 付加価値の予測と帰属計算

補遺3. 成長パターンと労働市場の成果

5. 雇用の二番底からの回復:課題と政策

投資と雇用創出を増やすために不確実性に取り組む

世界の需要と雇用の創出に向けて刺激策を調整する

労働市場のミスマッチに取り組み構造変化を促進する

若年雇用促進の努力を増大する――特に若年層の長期失業に焦点を当てる

参考文献

補遺

補遺1. 世界と地域別の統計表

補遺2. 失業予測

補遺3. 世界と地域別の統計図

補遺4. 世界と地域別の推定値に関する注

補遺5. 世界全体と地域別の予測値に関する注

補遺6. 世界の雇用情勢――地域グループ

著者紹介

国際労働機関(ILO)

国際労働機関(ILO : International Labor Organization)は1919 年に,社会正義の促進,そして,世界的な平和とその持続を目的として設立された.創立50 周年にあたる1969 年にはノーベル平和賞を受賞している.この機関の事務部門,事業本部,調査研究センター及び出版部門の本拠は,ジュネーブにある国際労働事務局である.その管理運営は,40以上の国にある地域総局及び現地事務所に分散されている.国際労働機関は国連に加盟する機関では独特の三者(政府,使用者,労働者)構成を採用しており,理事会にはこの三者の代表も含まれている.これは,政策策定や計画立案時には,経済を動かす社会的パートナーである労使代表も政府と等しく発言する権利をもっている,という理念に基づくものである.上記の三つの団体は,ILO が後援する各地域での活動や会合に参加するだけでなく,国際労働総会にも出席している.この国際労働総会は,毎年開催されており,世界の労働問題,社会問題を討議する国際フォーラムでもある.

国際労働機関は長い年月にわたり,労働組合,労働者,社会政策,雇用条件,社会保障,企業間の交渉や労働行政などに関する問題に,参加各国の様々な条件を考慮しつつ取り組んできている. 国際労働機関は,40カ国以上からなる地域総局や労使団体間の情報交換を通して,助言や技術的な支援を行っている.この支援活動には,労働者の権利と企業間交渉に対する助言,雇用の促進,小規模な企業の発展を目的とした教育,計画の策定などが含まれる.またさらに,社会保証や労働条件,労働環境の安全性に関するアドバイス,労働に関する統計の比較と公表,労働者教育も行っている.

訳者紹介

田村 勝省(たむら かつよし)

1949 年生まれ.東京外国語大学および東京都立大学卒業.旧東京銀行で調査部,ロンドン支店,ニューヨーク支店などを経て,現在は関東学園大学教授,翻訳家.

訳書
『アメリカ大恐慌(上下)』(NTT 出版,2008 年)
『シュンペーター伝 革新による経済発展の預言者の生涯』(一灯舎,2010 年)
『ユーロ  統一通貨誕生への道のり、その歴史的・政治的背景と展望』(一灯舎,2011 年)
『ユーロの崩壊 ヨーロッパの金融失敗からの脱出ルート』(一灯舎,2012 年)
『世界開発報告2012 ジェンダーの平等と開発 』[共訳](一灯舎,2012 年)
『世界労働レポート2012 より良い経済のためのより良い仕事 』(一灯舎,2012 年)
『世界給与・賃金レポート 給与・賃金と公平な成長 』(一灯舎,2013 年)


タグ: