更新日:2013/01/03
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サンプルページ(PDF)
・ 序文,はじめに,目次
・ マウスのiPSに関する論文(対訳ページ 2-3)
・ マウスのiPSに関する論文(対訳ページ 6-7)
2012 年のノーベル医学・生理学賞は,iPS 細胞を人工的に作製した山中伸弥博士と分化した細胞が分化する前の初期の状態に戻ることを発見したガートン博士に授与されることが決まりました.特に山中教授の業績は,今まで不可能と考えられていた分化した細胞をもとの細胞に戻す(初期化)リプログラミングが,わずか4つの遺伝子を導入するだけで起こることを示しており,生物学の常識を覆しました.さらにこの発見は,倫理的な問題で滞っていた再生医療の分野に新たな希望を与えるものであることから,私達の生活と関連が深く,医療の革命として大きな注目を浴びています.
本書は,このような画期的な山中伸弥教授のグループによる2つの論文を英和対訳で掲載しています.この2つの論文(マウスのiPS 細胞に関するものとヒトのiPS 細胞に関するもの)はCell という学術雑誌にそれぞれ2006 年と2007 年に掲載され,今回のノーベル賞受賞のきっかけになりました.本書では,英和対訳形式で掲載するだけでなく,専門用語や論文の重要なポイント,図や写真の見方などを詳しく解説しています.また,2つの論文の対訳に加えて,ノーベル財団が発表した受賞理由の翻訳,本書の監修・監訳者である西川伸一先生と山中先生との交流のエッセイ,iPS 細胞の現状と今後,用語集などを収録しています.論文やエッセイからは,iPS 細胞の作製にいたるまでの山中教授グループの苦労を知ることができます.
本書に収録されている論文の内容は本格的なものですが,西川先生の丁寧な解説と豊富な用語集によって,高校生の生物Ⅱのレベルで理解できる内容となっています。iPS 細胞はどのような過程を経て作製されたのか,そしてiPS 細胞の多能性はどのようにして証明されたのかなどを詳しく知ることができるでしょう.若い人達のために,ノーベル賞級の論文はどのように書かれ、専門誌に投稿されるかも解説されています。また一般の人には,「iPS 細胞をめぐる発表以後の発展、実用化の現状と展望」(論文解説の後に収録)は今後が期待されている分野を知る上で役立つでしょう。
―― 修正のおわび ――
本書の記載事項に誤りがありました。
本書160ページ第2段落6〜7行目の、論文著者名が「(Takahashi and Yamamoto, 2006)」になっておりますが、正しい表記は「(Takahashi and Yamanaka, 2006)」でございます。
大変失礼いたしました。ご指摘していただいた方々に感謝申し上げます。
タグ: 科学