世界雇用情勢2012 雇用危機の深刻化を予防
更新日:2012/04/30
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・ 序文,目次
概要
この雇用情勢報告書は,世界全体,および各地域における労働市場を評価したものである.利用可能な最新のデータを基にし,マクロ経済学的な視点を考慮している.そして雇用及び非雇用の動向を示すとともに,雇用情勢の評価と短期的な予測を部門,脆弱な雇用,労働生産性,勤労貧困層について提示している.さらに,国レベルで生じている問題や新興労働市場に関する分析も示している.ILOの主要な労働市場指標が基盤になっており,本書はこの労働市場指標の地域と世界全体に関する首尾一貫した一連の表を掲載している.
世界雇用情勢2012 は,世界の労働市場が非常に厳しい状態にあり,現在,労働市場では3人に1人が非雇用状態あるいは貧困状態にあることを示している.また,刺激策の対象が特に先進国では金融部門救済に向けられているため,成長が雇用の増加につながっていないことも示している.本書は,個人投資を停滞させている不確実性を削減し,雇用を創出する機会を増やすために断固とした統合的な行動を起こすことを要求している.
目次
謝辞
要約
1.マクロ経済の展望は悪化しつつある
世界経済は急速に軟化している
短期的な展望
中期的に作用している潮流
シナリオと政策対応
2.世界の労働市場状況
失業と労働力参加
雇用と労働生産性
勤労貧困と脆弱な雇用
世界の労働市場にかかわる厳しい展望
3.地域別にみた経済・労働市場の動向
先進国・EU
中央・南東欧州(非EU)とCIS
ラテンアメリカ・カリブ
東アジア
東南アジア・太平洋
南アジア
中東
北アフリカ
サハラ以南アフリカ
4.雇用の増加をともなう成長に向けた政策
危機で失われた雇用の要約
若年雇用危機の悪化
雇用の世界展望
雇用に溢れた成長を促進するマクロ政策の選択肢
補遺1.世界と地域別の統計表
補遺2.予測
補遺3.地域別の計数
補遺4.世界及び地域別の推定値に関する注
補遺5 世界と地域別の予測値に関する注
参考文献
著者紹介
国際労働機関(ILO)
国際労働機関(ILO : International Labor Organization)は1919 年に,社会正義の促進,そして,世界的な平和とその持続を目的として設立された.創立50 周年にあたる1969 年にはノーベル平和賞を受賞している.この機関の事務部門,事業本部,調査研究センター及び出版部門の本拠は,ジュネーブにある国際労働事務局である.その管理運営は,40 以上の国にある地域総局及び現地事務所に分散されている.国際労働機関は国連に加盟する機関では独特の三者(政府,使用者,労働者)構成を採用しており,理事会にはこの三者の代表も含まれている.これは,政策策定や計画立案時には,経済を動かす社会的パートナーである労使代表も政府と等しく発言する権利をもっている,という理念に基づくものである.上記の三つの団体は,ILO が後援する各地域での活動や会合に参加するだけでなく,国際労働総会にも出席している.この国際労働総会は,毎年開催されており,世界の労働問題,社会問題を討議する国際フォーラムでもある.
国際労働機関は長い年月にわたり,労働組合,労働者,社会政策,雇用条件,社会保障,企業間の交渉や労働行政などに関する問題に,参加各国の様々な条件を考慮しつつ取り組んできている. 国際労働機関は,40 カ国以上からなる地域総局や労使団体間の情報交換を通して,助言や技術的な支援を行っている.この支援活動には,労働者の権利と企業間交渉に対する助言,雇用の促進,小規模な企業の発展を目的とした教育,計画の策定などが含まれる.またさらに,社会保証や労働条件,労働環境の安全性に関するアドバイス,労働に関する統計の比較と公表,労働者教育も行っている.
訳者紹介
田村 勝省(たむら かつよし)
1949 年生まれ.東京外国語大学および東京都立大学卒業.旧東京銀行で調査部,ロンドン支店,ニューヨーク支店などを経て,現在は関東学園大学教授,翻訳家.
訳書
『アメリカ大恐慌(上下)』(NTT 出版,2008 年)
『アメリカ連邦準備制度の内幕』(一灯舎,2010 年)
『シュンペーター伝 革新による経済発展の預言者の生涯』(一灯舎,2010 年)
『ユーロ 統一通貨誕生への道のり、その歴史的・政治的背景と展望』(一灯舎,2011 年)
『世界開発報告2011 紛争,安全保障と開発』(一灯舎,2012 年)
『ユーロの崩壊 ユーロッパの金融失敗からの脱出ルート』(一灯舎,2012 年)