更新日:2009/08/31
・ 序文、目次
1950年からの約半世紀の間に、アメリカの経済では、製造業の没落と金融サービス業の急速な台頭があった。これをGDPで見ると1950年には製造業が29%であり、金融サービス業は11%を占めていた。ところが、2005年には製造業は12%に減少し、金融サービス業は20%に倍増した。2007-2008ではサブプライムバブルで金融はもっと膨張していたであろう。
アメリカを現在のような絶望の淵から助け出すにはどうすべきか、それにはメインストリート(製造業)の復活と、ローカル産業や国民の対話による草の根運動の台頭に期待する。コーテンは真の富の経済に向けたニューエコノミーのための12のアジェンダを提唱する。これらは非常に厳しいものだがオバマ新大統領はなりふり構わずその改革を断行すべきである。そうすればアメリカは必ず再生する。国を想うコーテンの気迫の新著である。
金融サービス業はウォールストリートによる幻の富(ファントム・ウエルス)の追求である。これはマジックのように現れたり消えたりする富であり、真の効用の創造ではなく資産バブルの膨張により創り出された貨幣で、会計記帳上の数字である。ウォール・ストリートの詐欺師たちは、時には30倍のレバリッジをかけて膨大なファントム・ウエルスを稼ぎ出した。それが霧散し崩壊した現在、そのつけを負担するのはまじめな投資家と、国民の税金である。強い中間層の増加と発展に期待し、そのための具体的な処方箋をえがく。
真の富(リアル・ウエルス)とは健康で充実した生活、健康で幸せな子供たち、愛する家族、美しく健全な自然環境に囲まれた思いやりのあふれた地域社会である。人々の本来的な価値と献身を肯定してくれる充実した平和な世界である。コーテンはこのような社会を担う、強い中間層の増加と発展を期待する。
br>
br>
タグ: 経済学