更新日:2009/07/31
・ 序文、目次
変化して止まない常に騒然としているウォール街では、歴史に残るような戦いが繰り広げられている。本書はセルサイド(伝統的な商業銀行と投資銀行)とバイサイド(成り上がりのヘッジ・ファンドやプライベート・エクイティ会社など)という巨人2人の間の権力闘争を追跡したものである。
一流の金融機関で30年間を過ごしてきた本書の著者であるリチャード・ゴールドバーグは、このダイナミックな分野で起こっていることや、古いセルサイドの門番から新しいバイサイドのプレーヤーへという権力のシフトの背後にある要因について、詳細な説明を展開している。
変化の原動力(流動性と金融技術)と変貌の立役者(ヘッジ・ファンド、プライベート・エクイティ会社、金融企業家、寄付金基金、取引所、政府系ファンド)を検証し、さらに、戦いにおける勝者と敗者にとっての戦略的な意義を概観している。これは重要なことだ。著者はこれらすべてを、長年にわたる自らの経験とサブプライム住宅ローンに端を発する金融危機や信用の収縮、およびそれに伴うグローバル企業の変貌という劇的な背景のなかで述べている。そして、2008~2009年にかけての金融危機を教訓として、新たな対応策の提案も行っている。
ゴールドバーグが戦いの主要なプレーヤーに対する独自の経験や知識、人脈をもっているおかげで、本書は、現場の状況を生き生きと伝えるものになっている。ウォール街の戦いで足跡を残した将軍たちに関する魅力的な逸話や物語にあふれているからだ。