幹細胞WARS ――幹細胞の獲得と制御をめぐる国際競争
更新日:2009/07/31
毎日新聞 8月25日号の科学面に書評が掲載されました
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第一章(抜粋)
第八章(抜粋)
概要
幹細胞は、その潜在能力と不可思議な性質によって多くの人を魅了してきた。国家予算を投じた研究が行われる一方で、倫理問題や論文捏造事件を引き起こしてきた。そして、幹細胞それ自身の解明だけでなく、臨床治療への応用やがん細胞との類似性、そして生命の始まりの定義など、多岐にわたる分野で探求と論争が続いている。また、最近では山中教授のiPS細胞によりこの分野に新たな光が投げかけられている。
本書は、エジプト、イスラエル、シンガポール、イギリス、アメリカ、オーストラリア、中国、ロシア、韓国そして日本など、世界各国の研究者、医師、そして患者達への綿密な取材によるノンフィクションであり、幹細胞をめぐる熾烈な人間ドラマである。理化学研究所で幹細胞の研究に携わる西川先生が監訳を担当すると共に、本書の原書が出版された後に大きなブレイクスルーが起こったiPS 細胞に関する進展や学界に与えた影響などを新たに書き下ろしていただき、巻末に収録した。
目次
謝辞
プロローグ
第一章 非メイド・イン・アメリカ
第二章 サハラの幹細胞
第三章 科学界の聖地巡礼
第四章 はじまり――幹細胞治療を目指して
第五章 バイオポリス
第六章 クローニングを巡る世界的規模の戦い
第七章 諸刃の剣――がんの原因と治療法としての幹細胞
第八章 ヒトキメラの医学的革命
第九章 幹細胞と心臓――心臓専門医の競争心をかき立てる
第十章 広がる闇医療と規制の問題
第十一章 出産可能年齢を覆す――幹細胞による最初の社会革命
第十二章 ソウルの衰退とサンフランシスコ
そして本編の始まり――山中iPS(誘導多能性幹細胞)
注
索引
著者紹介
シンシア・フォックス(Cynthia Fox)
ニューヨーク,ブルックリン在住の受賞歴を持つサイエンス・ライター.これまでに執筆した記事は,ワイヤード誌,フォーチューン誌,ローリングストーン誌,エスクワイア,ザ・サイエンティスト誌,ディスカバー誌などに掲載されている.
監訳者紹介
西川 伸一(にしかわ しんいち)
独立行政法人 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
幹細胞研究グループ グループディレクター兼 副センター長
1973年3月 京都大学医学部医学科 卒業
1973年12月 京都大学結核胸部疾患研究所付属病院 医員、助手と臨床部門で7年間医療に従事
1980年7月 京都大学結核胸部疾患研究所細菌血清部門助手基礎医学に転向
1980年11月 Alexander von Humboldt財団奨学生 ドイツ連邦共和国ケルン大学遺伝子研究所
1983年1月 帰国・復職
1983年9月 京都大学結核胸部疾患研究所付属感染免疫動物実験施設助教授
1987年4月 熊本大学医学部免疫医学研究施設(後に遺伝発生医学研究施設に改組) 教授
1993年5月 京都大学医学部分子遺伝学 教授
2000年5月 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター副センター長兼任
2003年4月 理化学研究所 専任 幹細胞研究グループ グループディレクター兼 副センター長 現在に至る
訳者紹介
志立 あや(しだち あや)
京都大学理学部卒業.化学会社研究所勤務を経て,現在医薬・生物学関連の実務翻訳に携わる.
千葉 啓恵(ちば ひろえ)
東北大学大学院農学研究科修士課程修了.花王株式会社生物科学研究所に勤務後,フリーの翻訳者に.現在は日経サイエンスなどの記事を多数手がけている.
三谷 祐貴子(みたに ゆきこ)
京都大学大学院農学研究科修士課程修了,小野薬品工業水無瀬探索研究所勤務,東京大学大学院医学研究科博士課程修了,医学博士.文部科学省ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室技術参与を経て,現在は自然科学分野を中心に翻訳業に従事している.