更新日:2007/03/31
発展途上国の若者世代への投資を考えると,現在は千載一遇の好機であると言える.12-24才の青少年は目下途上国で13億人に達し,
歴史上最も大きい集団をなしている.彼らはおしなべて,その前の世代と比較してよりよく教育されており,より健康的である.世界
的には基礎的レベル以上のスキルを一層要求しつつある.そのなかで,彼らは,潜在的には,より強固な基盤を形成している.今日
の若者世代は,出生率が相対的により少なくなりつつあり,従って,彼らは扶養家族がより少ない状況下で次の時代の労働力となり,
企業家となり,両親となり又,積極的な市民となる.これらの国々は,このような良い機会にめぐまれ,いわば発展への窓が開かれた時
期に,将来に向けて投資すべきである.さもなくばやがて人口の老齢化によって,好機の窓は再び閉ざされてしまうからである.
世界開発報告2007,「経済開発と次世代」は,若い世代が人的資本となっていく5つの成長過程において,政府がとるべき施策の優先
順位を示している.それらは,学ぶ時期,就労の時期,健康を保持し家族を作って市民権を行使する各々の時期においてである.こ
のような施策の優先順位を決めるための道具としてこの報告は,3つのレンズに光を当てて焦点を絞る.それは機会の拡大,能力の増
強,及びセカンドチャンスを与えることの3つである.機会の拡大には教育の量だけでなく,質を高めること,それによって就労・就
職への過程をスムーズにし,市民活動へのステップを提供することである.能力の増強は,若者達が自己の活動の結果を知ることであ
り,特に重要なのは彼らの人生のずっと後に影響力のある活動結果を早めに知ることである.又,彼らの意思決定の技能を高め,彼ら
に正しいインセンティブを与えることも含まれる.第3の彼らにセカンドチャンスを与えるというのは,再び活動させるための再教育
と再トレーニング,その他の対応処置をほどこしリハビリをやることによって,若い世代に一度見送ったチャンスを再び確保させることである.
これらは,今,格差社会が問題になっている日本の若者にも充分当てはまる施策である.