更新日:2013/06/18
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・ 序文,目次
「この小説は壮大で読者の心をとらえてはなさない,著者はストーリー展開のテンポを緩急自在に操り,登場する人物の一人一人の描写が生々しい」,「ついにアメリカにも不朽の名作を書ける若い女性作家が現れた」.『風と共に去りぬ』は,今日においても世界中で読まれ続けており,アメリカ文化の一部となっています.書簡を含む新たに入手可能となった資料を基に,ミッチェルの心境や,出版後に一躍有名になったことや次々に発生する著作権問題に翻弄されるミッチェル,そのミッチェルを支える人達,水面下での交渉,続編の誕生を巡る論争を描いています.世紀の名作に新たな魅力を与える一冊となっています.
発刊七十五周年を迎えるにあたり、われわれは新しい試みをおこなった。『風と共に去りぬ』が世界的な超ベストセラーとなっていく過程に焦点をしぼり、その歴史をはじめて一冊の本にした。本書は著者ミッチェルの伝記でなく、その著作の伝記であり、この小説の起源が生まれたミッチェルの幼少時代から、一つの文化現象にまで発展した現在までの歴史を描いたものである。われわれは、この小説がアトランタの狭いアパートからニューヨークの五番街のマクミラン社へ、そして全米へ、全世界へとはばたいていった軌跡を丹念に追った。タイプライターと電報の時代にこの小説がいかにして生まれ、世に出て、そして世界を席巻していったか、その課程を描き出した。そこには当然、著者や出版社、代理人の愛憎というものが存在し、とりわけ著作権管理をめぐる攻防はすさまじい。われわれはそういった部分にも躊躇なく入り込んだ。著者ミッチェルは著作権を守るために自ら戦いつづけ、それが引き金となって国際著作権法に対するアメリカの方針が変わっていった。海外の海賊版の流出を自ら阻止しながら、マーク・トウェイン以後、世界にセンセーションを巻き起こした作家として、ミッチェルはアメリカ人作家の外国著作権の保護の必要性を強く訴えた。本書はそういったミッチェルの活動や、著作権管理者としての仕事ぶりも紹介している。さらに、本書は著者の伝記ではないので、著者が亡くなっても話は終わらない。ミッチェルの死後、夫、兄、そしてアトランタの三人の弁護士が、世界で最も価値のある著作権を守り、多大な利益を生み出していく激動の歳月にもスポットをあて、現在までの全軌跡を描き出している。 (本書「序文」より抜粋)
本書は、一作の小説がたどる劇的な運命を縦糸とし、この小説に関わる人々の人間模様を横糸とした、人間ドラマ色の強い作品となっている。作者マーガレット・ミッチェルの視点だけでなく、夫マーシュの視点、マクミラン出版の視点、著者自身の視点をとりまぜ、この小説の起源から「聖書に次ぐ大ベストセラー」となった現在までを、立体的、多面的に描き出している。…貴重な文書を巧みに織りまぜ、真実を紡いでいく展開は、臨場感と緊迫感に満ちている。 (本書「訳者あとがき」より抜粋)
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