更新日:2015/11/05
・ 序文,目次
『世界給与・賃金レポート』は世界中の実質賃金の推移を分析して,グローバルに,また,地域別にも,賃金のトレンドと相対的な購買力に関して独特な姿を描いている.
この2014/15 年版では,家計レベルにおける賃金と不平等の関係を検証している.本レポートは,ほとんどの諸国では生産年齢になっている家族員が少なくとも1 人いる家計にとって,賃金は唯一最大の所得源となっていることを示している.そして,不平等に関する最近のトレンドの背景にある重要な要因として,賃金と有給雇用の変化を指摘している.本レポートでは男と女,移民と自国民,非公式経済と公式経済の労働者など,特定グループ間の賃金格差も検討されている.
不平等は,財政的な再分配だけでなく,直接および間接的に賃金分布に影響を及ぼす政策を通じて取り組むことができる.しかし,労働市場における不平等の拡大は,課税や移転を通じた不平等の削減に向けた努力にとってはいっそう重い負担となっている.したがって本レポートは,政策を組み合わせて実行することの必要性を強調している.そしてその政策として,最低賃金,団体交渉の強化,賃金格差を除去するための介入策,有給雇用の促進,課税・移転を通じた再分配を挙げている.