世界給与・賃金レポート 2014/2015

更新日:2015/11/05

世界給与・賃金レポート 2014/2015

賃金・所得の不平等

ILO 編著

田村 勝省 訳

2015年11月 発行

定価 4,000円

ISBN978-4-907600-37-2

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・  序文,目次

概要

『世界給与・賃金レポート』は世界中の実質賃金の推移を分析して,グローバルに,また,地域別にも,賃金のトレンドと相対的な購買力に関して独特な姿を描いている.

この2014/15 年版では,家計レベルにおける賃金と不平等の関係を検証している.本レポートは,ほとんどの諸国では生産年齢になっている家族員が少なくとも1 人いる家計にとって,賃金は唯一最大の所得源となっていることを示している.そして,不平等に関する最近のトレンドの背景にある重要な要因として,賃金と有給雇用の変化を指摘している.本レポートでは男と女,移民と自国民,非公式経済と公式経済の労働者など,特定グループ間の賃金格差も検討されている.

不平等は,財政的な再分配だけでなく,直接および間接的に賃金分布に影響を及ぼす政策を通じて取り組むことができる.しかし,労働市場における不平等の拡大は,課税や移転を通じた不平等の削減に向けた努力にとってはいっそう重い負担となっている.したがって本レポートは,政策を組み合わせて実行することの必要性を強調している.そしてその政策として,最低賃金,団体交渉の強化,賃金格差を除去するための介入策,有給雇用の促進,課税・移転を通じた再分配を挙げている.

目次

序文

謝辞

要約

Part I 賃金の主要トレンド

第1 章 はじめに

第2 章 グローバル経済における平均賃金の伸びに関するトレンド

第3 章 先進国

第3.1 節 平均賃金:国ごとに若干の差異

第3.2 節 生産性の伸びが賃金上昇率を凌駕

第3.3 節 労働所得シェア

第4 章 新興国・途上国のトレンド

第4.1 節 賃金上昇率は高い

第4.2 節 労働所得シェアは賃金上昇率が高くても低下し得る

第5 章 平均賃金は漸進的な収斂に向かう?

Part II 賃金と所得不平等

第6 章 はじめに:家計所得不平等における賃金の役割

第6.1 節 状況:1980 年代以降,多数の諸国で不平等が長期にわたり拡大傾向

第6.2 節 不平等に取り組む一連の政策対応

第7 章 所得不平等に関する最近のトレンドはさまざま

第7.1 節 「トップ層対ボトム層」の不平等と「中流階級」の不平等

第7.2 節 先進国:総じて所得が横ばいで推移する,ないし低下するという状況下で,不平等のトレンドは各国でさまざま

第7.3 節 新興国・途上国:総じて所得が増加する状況下で不平等の動きはさまざま

第8 章 不平等:賃金の役割と有給雇用

第8.1 節 賃金が不平等の変化にどのように影響を及ぼすかを分析する

第8.2 節 労働市場効果:賃金効果と雇用効果の合計

第8.3 節 先進国:失職と賃金カットが不平等の変化の主要な要因

第8.4 節 新興国・途上国:労働市場効果が主要な役割

第9 章 不平等と所得源との関係

第9.1 節 先進国:所得源を分解する

第9.2 節 新興国・途上国:さまざまに変容しつつある

第10 章 賃金格差:賃金が他の人々よりも低い労働者とその理由

第10.1 節 ジェンダー別の賃金格差

第10.2 節 移民の賃金格差

第10.3 節 非公式経済の賃金格差

Part III 賃金と不平等に取り組むための政策対応

第11 章 はじめに:政策課題

第12 章 賃金と不平等(一次分配)に取り組む労働市場政策

第12.1 節 賃金と賃金分配に直接影響をおよぼす政策の役割

第12.2 節 賃金や賃金分布に間接的に影響を与える政策の役割

第13 章 賃金と不平等(二次分配)に取り組む財政政策

第13.1 節 税金の役割

第13.2 節 社会的保護の役割と労働市場政策との関係

第14 章 結論:政策措置を組み合わせれば不平等に取り組み,雇用を促進し,総需要を下支えすることができる

補遺

補遺Ⅰ 世界の賃金トレンド:方法論の問題

補遺Ⅱ 定義,概念,およびデータ問題

補遺Ⅲ 家計所得不平等の変化

補遺Ⅳ 賃金格差を分解する

参考文献

著者紹介

国際労働機関(ILO)

ILO駐日事務所

訳者紹介

田村 勝省(たむら かつよし)

東京外国語大学および東京都立大学卒業.
旧東京銀行および関東学園大学教授を経て翻訳家.


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