村を癒す人達 1960年代フィリピン農村再建運動に学ぶ

更新日:2013/01/05

村を癒す人達

1960年代フィリピン農村再建運動に学ぶ

フアン・M・フラビエ 著

玉置 泰明 訳

2013年1月 発行

定価 1,800円

新 : ISBN 978-4-907600-20-4
旧 : ISBN 978-4-903532-89-9

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・  序文,目次

概要

本書は、著者が「フィリピン農村再建運動」(PRRM)を通じて経験したことをまとめたものである。単に著者の経験を述べるだけでなく、著者と共にPRRM に参加しているワーカー達の住民との交流や農村地域が持つ知恵、習慣などをユーモアを交えながら記述している。農村で生産性の向上や衛生教育、経済基盤の構築、識字教育などを行うにあたり、この運動では、地元の人とともに生活し、新しい知識を伝えるだけでなく、独自の文化を尊重しそこから学ぶことも重視している。著者は実際にそうすることによって様々な問題の原因をつきとめ解決方法を見出している。またこの運動のメンバーの多くは、いわゆるエリートと呼ばれる人達である。慣れない土地で試行錯誤をしながら地元との信頼を築き、科学的な知識を広めてゆく様子が描かれている。
このような運動の記録は、食糧自給率の向上や農村の再開発が必要とされる現在の日本にとっても非常に有益であろう。また、閉塞感が広まり、氾濫する情報に振り回されている若い人達にとって、大切なものは何かを考えなおすきっかけにもなるだろう。

目次

前書き

序文

第一章 フィリピン農村再建運動への序説

第二章 村の農民を知る…

第三章 ワーカー:科学の伝道師達

第四章 作物生産を増大させる

第五章 食物と利益のために家畜を育てる

第六章 協同組合:自立への一歩

第七章 農村家内工業

第八章 村のためによりよき健康を

第九章 衛生的排泄物処理

第十章 村の家族計画

第十一章 大衆の教育

第十二章 「稲の根」の自治

第十三章 モデル農家プロジェクト

第十四章 いくつかの最後の言葉

訳者による長い後書きと解説

引用・参考文献

謝辞

著者紹介

フアン・M・フラビエ(JUAN M. FLAVIER)

フルネームは,Juan Martin Flavier.1935 年,マニラ,トンド地区生まれ.1960 年,国立フィリピン大学医学部卒.1969 年,米ジョン・ホプキンス大学で公衆衛生修士号取得.1960 年代に「フィリピン農村再建運動」(PRRM) の派遣で,ルソン島ヌエバ・エシハ州とカビテ州の無医村で働く.その際の経験をもとにしたのが本書.1977 年,PRRM 総裁に就任.1978 年~ 1992 年は,「国際農村再建学院」院長.1992 年ラモス大統領に保健大臣に任命される(~ 1995 年).1995 年以降,上院議員,上院議長を歴任.著書に,本書の他,本書の続編である My Friends in the Barrios(1974 年),Back to the Barrios(1978 年),保健大臣時代の経験をまとめた Let’s DOH It!(1999 年)などがある.2009 年には,自伝 From Barrio to Senado を出版した.

訳者紹介

玉置 泰明(たまき やすあき)

1954 年生まれ.1979 年,東京大学教養学部卒.1988 年,東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学.東京都立大学人文学部助手を経て,1991 年より静岡県立大学国際関係学部に勤務.現在,同大学大学院国際関係学研究科教授.専門:社会人類学,開発人類学,東南アジア地域研究.1983 年~ 86 年文部省派遣留学生として,フィリピン大学に留学以来,フィリピンの農村社会および先住民の社会・文化について調査・研究を続けている.


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