更新日:2011/06/30
・ 目次,はじめに
本書は自然災害による惨事(死亡と破壊)に対して政府はかなり費用効果の高い予防策を講じることができると結論する.予防策には多くの智恵と行動が必要である.予防策には直接的なものと,間接的なもの、たとえばインフラの整備,公共輸送の安全確保,森林伐採を減らして土石流を防ぐなどがある.本書ではこうした方法とその関連支出を提案する.また,住民の参加と公的監視を含む制度が必要不可欠である.それを実行するには政府の意志決定についての透明性を高めることが重要である.災害保険の限界,各個人で出来ること,これからますますひどくなると予想される世界的な気候変動とその災害対策にも論及している.
十分な防災対策があっても厳しい自然災害は起こり得る.そうなれば回復と再建のためにかなりの資金が必要となる.一国の財政の安定性に対する災害の影響を十分理解することが大切である.借入れ,支援国からの援助なども最終的にはその国の課税にたよらざるを得ないことを念頭に置く必要がある.
本書は世界銀行や国際連合の行なったハイチやトルコの大震災,エチオピアの大干魃,インドネシアを襲った大地震と大津波等の例から対応の成功と失敗を具体的に検証する.先進国の例も豊富に提示し、失策や怠慢による人災を明らかにする.東日本大震災に対する日本の対応を成功させるためにも参考となる.