世界給与・賃金レポート 2022/2023
更新日:2023/10/10
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・ 序文、目次、エグゼクティブ・サマリー
概要
本レポートは世界中の実質賃金の推移を検証し,グローバルな賃金の動向に関するユニークな様相を,地域ごとに,かつ国のレベルで示している.2022/23年版には,2022年半ばまでに,COVID-19危機と最近のインフレが各国や各地域の全体において賃金と購買力に対してどのようにインパクトを与えたかに関する新たな証拠も含まれている.
さまざまな地理的地域や所得別グループを代表する調査対象に選ばれた国から得られた四半期調査データを使って,本レポートは次のことを示している.すなわち,実質賃金の低下は全ての賃金稼得者に影響を与えているものの,現行の生活費危機は,低所得世帯により大きなインパクトをもたらしている.実質賃金のこのような低下はCOVID-19パンデミックの期間に労働者とその家族が被った大幅な賃金の減少に追加的に生じており,減少幅は,低賃金労働者,女性賃金被雇用者,インフォーマル経済の賃金労働者の間でより大きくなっている.本レポートは,経済回復を支援し,労働者とその家族を手助けし,仕事の世界における不平等を潜在的に削減することができるであろう可能な対抗政策に関するレビューを提示している.
目次
序文
謝辞
略号
エグゼクティブ・サマリー
1. はじめに
2. 世界全体の経済および労働市場の状況
2.1. 経済成長
2.2. 公的債務の推移
2.3. インフレ率
2.4. 労働市場情勢
3. COVID-19危機と物価インフレの上昇という状況における賃金動向
3.1. 世界全体の賃金動向
3.2. 地域別の賃金動向
3.3. G20諸国の賃金指数
3.4. 高所得国における賃金と生産性の動向
平均という枠を超えて:低賃金労働者の購買力に対するインフレのインパクトはより大きい
3.5. 所得分布の全体を通じてみたインフレの影響
3.6. インフレ率は最低賃金の購買力を低下させる
男性および女性が稼得した賃金総額はCOVID-19危機とインフレからどの程度の影響を受けたか?
3.7. COVID-19危機の前,およびCOVID-19危機の期間における賃金支払総額の推移
3.8. 賃金支払総額の経時的な変化の分解,および男女間の比較
3.9. フォーマルおよびインフォーマル経済における賃金分布全体の雇用と賃金の変化
4. COVID-19危機と物価インフレの上昇という状況における賃金不平等
4.1. COVID-19危機と賃金不平等
4.2. 賃金不平等の変化の背後にある要因を明らかにする
4.3. COVID-19危機とジェンダー間給与格差(gender pay gap)
5. 生活費危機に対する政策オプションと対応
5.1. マクロ経済政策
5.2. 労働市場制度と賃金政策を強化する必要がある
5.3. インフレが高水準の時期に,世帯,特に最も脆弱な世帯を支援するための政策
5.4. ジェンダー間の給与格差に取り組む
5.5. 多角主義の役割
補遺
I. 四半期別の調査データの出所,家計の支出パターン,および調査データの処理
II. 2020年,21年,および22年の第1と第2四半期における賃金支払総額の推移
III. 賃金支払総額の変化の分解,および賃金分布全体の雇用と所得における 変化の推定
IV. 2020年および21年の賃金支払総額における変化の分解
V. 賃金不平等の長期的変化の分解
参考文献
使われたデータベース
著者紹介
国際労働機関(ILO:International Labor Organization)
ILOは1919年に,ベルサイユ条約によって国際連盟と共に誕生した.第1次世界大戦後の社会改革に対して高まる懸念,そしてあらゆる改革は国際的なレベルで進められるべきだという確信を体現するものとして設立された.
第2次世界大戦後,フィラデルフィア宣言によってILOの基本目標と基本原則が拡大され,力強く再確認された.宣言は戦後における独立国家数の増大を予見し,大規模な対途上国技術協力活動の開始を明言した.1946年,ILOは新たに設立された国際連合と協定を結んだ最初の専門機関となり,創立50周年にあたる1969年にはノーベル平和賞を受賞した.
訳者紹介
田村 勝省(たむら かつよし)
東京外国語大学および東京都立大学卒業.
旧東京銀行および関東学園大学教授を経て翻訳家.