世界の雇用及び社会の見通し 2023 動向編
更新日:2023/08/29
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・ 序文、目次、エグゼクティブ・サマリー
概要
複数の危機がCOVID-19 危機からの回復を減速させている.回復は均一ではなく,そして世界の多くの部分で依然として不完全である.政策当局はむずかしい(インフレと労働市場の弛緩の継続という)二律背反に直面している.「生活費危機」が家庭の暮らしを脅かしている.2023年における雇用増加は弱まると予想されており,一方で,世界全体の失業は増加すると予想されている.このような状況下で,ほとんどがパンデミック以前から高い水準にあったディーセント・ワーク不足は今後とも執拗に持続すると見込まれる.
本年の『世界の雇用及び社会の見通し:動向編』は,既存のディーセント・ワーク不足の包括的な評価を提示し,それがCOVID-19 危機によってどのような影響を受けたかを検討している.さまざまな労働者グループについて世界全体的なパターン,地域別相違,および結果などが分析されている.本報告書は,2023 年と24 年についての労働市場予測も提示している.加えて,労働生産性の伸びに関する動向を示し,そしてその逓減傾向の根底にある要因を分析している.
目次
序 文
謝 辞
エグゼクティブ・サマリー
1. 労働市場の回復の失速は社会正義を弱めつつある
概観
労働市場にとっての挑戦的なマクロ経済環境
生活費危機が可処分所得を侵食
労働供給,雇用,および仕事不足
労働者は労働条件の悪化に直面する見込み
見通しに関するリスク
社会契約の更新と社会正義の推進
参考文献
2. 地域別の雇用および社会の動向
概観
アフリカ
南北アメリカ
アラブ諸国
アジア・太平洋地域
ヨーロッパ・中央アジア
参考文献
3. 生産性のグローバルな動向:デジタル経済を通じて成長を復活させる?
生産性の伸びが低いというグローバルな環境下におけるマクロ経済面での挑戦課題
世界全体における生産性の動向と構造的シフト
技術と労働市場のつながり
生産性の鈍化を説明する他の要因
政策オプション
参考文献
補遺
補遺A. 地域・所得水準別にみた国のグループ
補遺B. ILO のモデルによる推定
補遺C. 世界全体,所得による国のグループごと,および地域ないし下位地域ごとの労働市場指標に関する表
補遺D. グローバル供給チェーンにおける雇用に関する推定値
補遺E. 生産性の測定とデータ
補遺F. 生産性増加と構造変化
著者紹介
国際労働機関(ILO:International Labor Organization)
ILOは1919年に,ベルサイユ条約によって国際連盟と共に誕生した.第1次世界大戦後の社会改革に対して高まる懸念,そしてあらゆる改革は国際的なレベルで進められるべきだという確信を体現するものとして設立された.
第2次世界大戦後,フィラデルフィア宣言によってILOの基本目標と基本原則が拡大され,力強く再確認された.宣言は戦後における独立国家数の増大を予見し,大規模な対途上国技術協力活動の開始を明言した.1946年,ILOは新たに設立された国際連合と協定を結んだ最初の専門機関となり,創立50周年にあたる1969年にはノーベル平和賞を受賞した.
訳者紹介
田村 勝省(たむら かつよし)
東京外国語大学および東京都立大学卒業.
旧東京銀行および関東学園大学教授を経て翻訳家.