世界の雇用及び社会の見通し 動向編 2022
更新日:2022/07/24
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・ 序文、目次、サマリー
概要
2年目となる2021年には、新型コロナ感染症のパンデミックはグローバル経済を支配し、労働市場の完全でバランスのとれた回復を阻害した。さらに、パンデミックに関連する混乱、構造的な欠陥、および新たに生まれたリスクが、ディーセント・ワークが創出される可能性を削減した。
本年の『世界の雇用及び社会の見通し:動向編』は、新型コロナウイルス感染症危機との戦いに対する各国の異なるアプローチを反映して、世界全体で労働市場の回復がどのように展開しているか、そして、労働市場の回復が今後どのように展開すると予測されるかに関する包括的な評価を提示し、労働市場については2022年と23年の予測も示している。経済部門(産業)や労働者のグループについて横断的に、グローバルな様相、および地域別の相違と成果を分析し、各国のワクチンへのアクセス状況や、支援的なマクロ経済政策を実施できる能力に応じて、世界は大きな乖離を経験すると予想されている。さらに、既存の課題、および回復軌道を脱線させ、したがって現在の労働市場の欠陥を長引かせる新たな世界的なおよび地域的な挑戦課題についても検討している。第3章では、危機の以前および危機の最中における臨時雇用の動向を探求している。
目次
序 文
謝 辞
エグゼクティブ・サマリー
1. 新型コロナのパンデミック後における強靭な仕事の世界の(再)構築
傷を伴う回復
雇用の動向にかかわる注目点
パンデミックを契機としたリセット(見直し)
マクロ経済的な変化
不平等の深化
フレキシビリティ2.0:仕事の非公式性とパターンにおける変化
政府が実施していること
パンデミック後の政策の背景:緊急援助から「より良い復興」へ
参考文献
2. 地域別の雇用および社会の動向
概観
アフリカ
北アフリカの労働市場動向
サハラ以南アフリカの労働市場動向
アフリカにおける不完全雇用および低生産性職の拡がり:ディーセント・ワーク不足,そしてGDPの労働市場からの分離
南北アメリカ
北アメリカの労働市場動向
北アメリカにおける新型コロナ感染症後の力学:インフレ,賃金,および市場支配力
ラテンアメリカ・カリブの労働市場動向
ラテンアメリカ・カリブにおける新型コロナ感染症後の「脱公式化」ないし「非公式化」の動因とリスク
アラブ諸国
労働市場動向
資源依存と労働市場:レンティア経済,および限定的な構造転換と民間部門開発
アジア・太平洋諸国
労働市場動向
アジア・太平洋における観光業および卸売・小売業:新型コロナ感染症のインパクトとその含意
ヨーロッパ・中央アジア
労働市場動向
若者の従事および再従事:労働市場の活性化と挑戦課題
参考文献
3. 臨時労働者と新型コロナ感染症:穏やかな海面の下の潮流
はじめに
臨時雇用の状況
臨時雇用(temporary employment)の定義
長期的なトレンドと特性
臨時雇用と新型コロナウイルス感染症
臨時労働者における正味の変化
臨時労働者の労働市場における変化
回復期における見通し
労働者,企業,および経済にとって持つ意味
労働者にとっての含意
企業にとっての含意
マクロ経済にとっての含意
結論
参考文献
補遺
補遺A. 地域・所得水準別にみた国グループ
補遺B. ILOのモデルによる推定
補遺C. 世界全体,所得別国グループごと,および地域ないし下位地域ごとの労働市場指標に関する表
著者紹介
ILO(国際労働機関)
ILO は1919 年に,ベルサイユ条約によって国際連盟と共に誕生した.第1 次世界大戦後の社会改革に対して高まる懸念,そしてあらゆる改革は国際的なレベルで進められるべきだという確信を体現するものとして設立された.
第2 次世界大戦後,フィラデルフィア宣言によってILO の基本目標と基本原則が拡大され,力強く再確認された.宣言は戦後における独立国家数の増大を予見し,大規模な対途上国技術協力活動の開始を明言した.1946 年,ILO は新たに設立された国際連合と協定を結んだ最初の専門機関となり,創立50 周年にあたる1969 年にはノーベル平和賞を受賞した.
訳者紹介
田村 勝省(たむら かつよし)
東京外国語大学および東京都立大学卒業.
旧東京銀行および関東学園大学教授を経て翻訳家.