世界の雇用及び社会の見通し 動向編 2021
更新日:2022/01/26
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・ 序文、目次、サマリー
概要
新型コロナのパンデミックは,健康に対する危機であることに加えて,雇用に関わる危機でもある.コロナウイルスの広がりを抑えるために採用されたロックダウンやその他の措置は,世界全体の労働市場を混乱させ,混乱の影響を受けなかった労働者はごくわずかであった.この報告書は,危機が仕事の世界に及ぼした影響を詳しく述べており,雇用,失業,労働力参加率,そして生産性における世界全体および地域的な傾向を考察している.同時に,雇用状態,非公式性,そして就労貧困などといった仕事の質に関わる側面も調査している.本レポートは,企業や労働者に対する危機の多種多様なインパクトについて,広範な分析も提供している.
本報告書は,パンデミック後における雇用の回復についての予測を提供している.回復は強固であると予想されるものの,危機によって拡大した損失を埋めるには不十分であろう.危機が発生する以前に労働市場での状況が非常に不利であった労働者――女性,若者,移民,非公式な労働者,そして低スキルの職業に就いている労働者――は,危機による影響から不釣り合いに苦労を強いられている.これらの切迫している課題の観点から,本報告書は,今後の世界全体の労働市場に「傷跡」が残るのを避けるための,人間を中心とした回復戦略を提唱している.
目次
序 文
謝 辞
エグゼクティブサマリー
1 グローバルな雇用の動向
概観
1.1 グローバルな労働市場の概要
1.2 労働所得の動向
1.3 新型コロナ感染症の余波におけるグローバルな労働市場の見通し
参考文献
2 新型コロナウィルス感染症の雇用及び社会に対する地域レベルでの影響
概観
2.1 アフリカ
2.1.1 北アフリカ
2.1.2 サハラ以南アフリカ
2.2 南北アメリカ
2.2.1 北アメリカ
2.2.2 テンアメリカ・カリブ
2.3 アラブ諸国
2.4 アジア・太平洋
2.5 ヨーロッパ・中央アジア
参考文献
3 企業や労働者に対する多種多様な影響
概観
3.1 経済活動に関する部門別のインパクト
3.2 企業に対するインパクト
3.3 労働者に対するインパクト
3.3.1 職業とスキル水準
3.3.2 男性と女性
3.3.3 雇用形態
3.3.4 移民労働者
参考文献
結論
補遺
A. 地域・所得水準別にみた国グループ
B. ILO のモデルによる推定
C. 所得別国グループ/ 地域ないし下位地域ごとにみた世界の労働市場指標の表
著者紹介
国際労働機関(ILO:International Labor Organization)
ILO は1919 年に,ベルサイユ条約によって国際連盟と共に誕生した.第1 次世界大戦後の社会改革に対して高まる懸念,そしてあらゆる改革は国際的なレベルで進められるべきだという確信を体現するものとして設立された.
第2 次世界大戦後,フィラデルフィア宣言によってILO の基本目標と基本原則が拡大され,力強く再確認された.宣言は戦後における独立国家数の増大を予見し,大規模な対途上国技術協力活動の開始を明言した.1946 年,ILO は新たに設立された国際連合と協定を結んだ最初の専門機関となり,創立50 周年にあたる1969 年にはノーベル平和賞を受賞した.
訳者紹介
田村 勝省(たむら かつよし)
東京外国語大学および東京都立大学卒業.
旧東京銀行および関東学園大学教授を経て翻訳家.