更新日:2018/08/02
・ 解説、目次
ESG 投資とは,環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)に対する企業の取組み状況に基づいて投資対象を選別する投資のことである.現在,ESG 投資は長期的に優れたパフォーマンスを求めるための投資手法として認知されつつある.企業を取り巻く社会環境は変化しており,投資家は資本主義を持続させる方法を考えるようになってきている.サステナブル投資,あるいは責任投資と呼ばれることもあるESG 投資は,そのような時代の潮流に合致するものであり,世界的に関心が高まっている.
本書はESG 投資に関する研究をまとめたものである.とかく理念的な話になりがちなESG 投資について,出来るだけ科学的に,そして,実証的な分析を行うことが本書の目的である.理念的に賛成だからという理由だけでは,投資を行うのに必ずしも納得出来る話とは言えない.特にESG 投資では,そのリターンやリスク,投資手法,企業価値への影響,パフォーマンス評価などにおいて,まだ十分にコンセンサスがあるという状況ではないと思われる.より具体的な議論をするためには科学的で実証に基づいた分析が求められていると言える.ESG投資にはまだ歴史的に十分なデータがあるとは言えないが,現時点で得られる範囲のデータで分析出来ることを知っておくことは重要であり,また,その分析の方法論を学ぶことは意義のあることであろう.本書はこういった要望に応えるものである.
各章は,ESG 投資に対して高い問題意識を持ち,それぞれの分野で活躍している専門家によって執筆されており,ESG 投資の研究について広い範囲を網羅している.ESG投資に関心のある人だけでなく,企業のCSR 活動や非財務情報の作成に関わる方にも有益な内容となっている.
2019年1月に、[普及版]を出版いたしました。内容に変更はありません。