山中iPS 細胞・ノーベル賞受賞論文を読もう

山中iPS 2つの論文(マウスとヒト)の英和対訳と解説及び将来の実用化展望


西川伸一 監修・監訳

ニシカワ&アソシエイツ 訳

2012年12月 発行

定価 1,800円

ISBN 978-4-903532-88-2

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サンプルページ(PDF)
・  序文,はじめに,目次
・  マウスのiPSに関する論文(対訳ページ 2-3)
・  マウスのiPSに関する論文(対訳ページ 6-7)

概要

 2012 年のノーベル医学・生理学賞は,iPS 細胞を人工的に作製した山中伸弥博士と分化した細胞が分化する前の初期の状態に戻ることを発見したガートン博士に授与されることが決まりました.特に山中教授の業績は,今まで不可能と考えられていた分化した細胞をもとの細胞に戻す(初期化)リプログラミングが,わずか4つの遺伝子を導入するだけで起こることを示しており,生物学の常識を覆しました.さらにこの発見は,倫理的な問題で滞っていた再生医療の分野に新たな希望を与えるものであることから,私達の生活と関連が深く,医療の革命として大きな注目を浴びています.

 本書は,このような画期的な山中伸弥教授のグループによる2つの論文を英和対訳で掲載しています.この2つの論文(マウスのiPS 細胞に関するものとヒトのiPS 細胞に関するもの)はCell という学術雑誌にそれぞれ2006 年と2007 年に掲載され,今回のノーベル賞受賞のきっかけになりました.本書では,英和対訳形式で掲載するだけでなく,専門用語や論文の重要なポイント,図や写真の見方などを詳しく解説しています.また,2つの論文の対訳に加えて,ノーベル財団が発表した受賞理由の翻訳,本書の監修・監訳者である西川伸一先生と山中先生との交流のエッセイ,iPS 細胞の現状と今後,用語集などを収録しています.論文やエッセイからは,iPS 細胞の作製にいたるまでの山中教授グループの苦労を知ることができます.

 本書に収録されている論文の内容は本格的なものですが,西川先生の丁寧な解説と豊富な用語集によって,高校生の生物Ⅱのレベルで理解できる内容となっています。iPS 細胞はどのような過程を経て作製されたのか,そしてiPS 細胞の多能性はどのようにして証明されたのかなどを詳しく知ることができるでしょう.若い人達のために,ノーベル賞級の論文はどのように書かれ、専門誌に投稿されるかも解説されています。また一般の人には,「iPS 細胞をめぐる発表以後の発展、実用化の現状と展望」(論文解説の後に収録)は今後が期待されている分野を知る上で役立つでしょう。

目次

序文

はじめに

略語一覧

第1章 特定の因子によるマウスの胎児および成体の線維芽細胞培養からの多能性幹細胞の作製

第2章 特定の因子によるヒト成人の線維芽細胞からの多能性幹細胞の作製

第3章 成熟した細胞を多能性になるようにリプログラミングすることが出来る[ノーベル財団による発表]

第4章 iPS を考える

第5章 iPS の実用化,現在の状況と将来の見通し

付録A 専門論文の発表について

付録B 用語集

監修・監訳者 紹介

西川伸一

1973 年 京都大学医学部卒業.京都大学結核胸部疾患研究所にて研修医,医員,助手を経て, 83 年にドイツのケルン大学遺伝学研究所に留学.帰国後,京都大学胸部疾患研究所にて助手,助教授を勤めた後,87 年より熊本大学医学部教授, 92 年より京都大学大学院医学研究科教授を歴任.

2000 年 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター副センター長および幹細胞研究グループディレクターを併任.研究分野は発生学(血液発生),幹細胞生物学.研究以外でも,日本の幹細胞分野の発展のためコーディネーターとしての活動を精力的に続けている.

2013 年4月からは原則としてあらゆる公職を辞して,科学にとどまらず様々な分野に活動を拡げるべく計画している.ニシカワ&アソシエイツは,生命科学分野の良書を翻訳するために集まったグループで,高校生から大学生まで若者に是非読んでもらいたいという本を選んで翻訳し,この分野を振興することを目的としている.本書もその一環.2013 年4月からはこの分野のシンクタンクを立ち上げ,21 世紀ゲノム文明についての情報発信を行う予定 である.

訳者紹介

ニシカワ&アソシエイツ

生命科学関係の良書を若い人に読んでもらうために,西川伸一を中心に集まった翻訳者の集団.全員が研究歴を持っている.

著者紹介

本書の第5章は、西川伸一先生による書き下ろしです。第6章、付録Aは、弊社編集部がまとめたものです。